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ラボ００６：再生装置が悪いのか、ソースが悪いのか 故長岡哲夫さんと言えばオーディオマニアでは知らない人はいないと思います。 彼の言葉でオーディオとは１番に部屋、２番にソフト（ソース）、そしてずっと下って、ハード（再生装置）という名言があります。1番はお金が必要ですが、2番は意外と見落とされている所だと思います。 自分の再生装置が悪いと思って原因を探していて、案外に録音されているソースそのものに問題があることも多いのです。 同じ再生装置を使っても、あるCDはやわらかい音がして、別のCDは耳障りと言うことは良くあります。CDを作成するときには生の演奏から多数の処理を経て、１６BitのCDデータが作成されますが、どんな音にするのかは最終的にはモニタでプロデューサ等の人が決定するわけで、モニタに使う機器、音の好み（耳＆脳の処理）で決まり、客観的な基準は何も無いわけですから。 ここで紹介するのは、音の良いCDとして推薦CD紹介本にあったアカペラの混声合唱の作品です。 1部の音に濁りを感じ、最初は再生装置が悪いものとばかり考えて再生装置へ改良対策を施しましたが一向に良くならないのでCoolEdit2000で調べてみました。 これを使えば簡単に同じ所を繰り返し聞けますので、もともとCDに入っている音から濁っていることが直ぐにわかりました。 Aの部分に濁りを感じ、B以降になると濁りが無くなっています。濁りは３．４Kh以上をカットしてみると聞き取れなくなるので原因は３．４K以上にあると考えられます。 A,Bの部分を周波数分析してみると。 Aの部分（濁りを感じる） Bの部分 ４K以上のスペクトルの形が原因のように見えますが、他の濁りを感じない部分でもAと同じような傾向があります。 これらのデータには共通して、４ｋを境にスペクトルの段差が存在することです。濁りを感じるAのデータが４Kと９Kの段が急であることが違いと考えられます。この違いと聴覚の濁りの相関はわかりません。参考に、別CDの混声アカペラコーラスのデータを示します。 常識的にAのような段差は人工的な原因があるものと推定されます。別のCDのように高い周波数に向かってなだらかに減衰していくのが一般的ではないかと私は思います。 いろいろ調べましたが、このスペクトラム分布以外は明確な差を見つけることはできませんでしたし、さらに原因かどうかも推測の域をでません。とにかく、人間の脳は凄い、音の濁りを簡単に見つけてしまう。 くれぐれも、評論家を１００％信用しないように。 ラボ００７：鈴虫の音 娘が学校からもらっていた鈴虫の卵が孵り鳴きだしました。 家の中で聞く鈴虫の音は意外と大きいもので、実に心地よい音色です。 さっそく、どの程度のクオリティで録音できるのか興味が俄然でてきて、録音してみました。 鈴虫の鳴き声 この録音だけ聞けば心地良い鈴虫ですが、やはり生の音とはかなり違います。一言でいうと録音の音は、がさついた音で、生の音はもっと目が細かい滑らかな音です。大人の肌と赤ん坊の肌の差と言えばよいのかな。 当然ですがスペクトラムをみれば３．５K以上に強いスペクトルが広い帯域に渡って分布しています。
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